葵(あふひ)の素敵なめぐり逢い

世界文化遺産上賀茂神社で葵を育て文化を伝承する葵の講師「高瀬川薫子」の活動

巡り逢いの陰陽エッセイ

忘れめや葵を草にひきむすび仮寝の野辺の露のあけぼの

これは新古今和歌集の式子内親王の御歌です。 どこからの眺めか。詠まれた場所へ行くと見えてくるものがあります。 そこ(仮寝)へは葵の茂るころ参りましょう。 きょうは葵を草にひきむすびを考えてみました。 葵を枕にした。と想像します。葵草を引き、結ん…

丙申(ひのえさる)年

謹んで新春のお慶びを申し上げます。本年もどうぞよろしくおねがいいたします。 今年は暖かいお正月となりました。 手水の水も氷ることなく温もりをかんじました。 今年、太陽のエネルギーはなにものにも邪魔されず万物に温もりを与え燦燦とふりそそぎます。…

朝の散歩〜御苑に霜〜

朝の陽の中で芝生がキラキラとしている。 ここは和宮内親王が14歳まで過ごされた場所。今も同じように霜は降りる。朝の散歩は発見が多い。スニーカーの色が同じ人をみつけた。 桜の木の芽は春を目標にしっかり冬超えを決め硬く上を向いている。 きょうは冬…

風の贈り物・上賀茂の森のリース

京都は突風が吹く悪天候。上賀茂の森の木の枝が随分落ちてしまいました。これでリースを作ってみようと思います。 南天は難を転じるという意味があることから表鬼門、北東にアレンジします。 三葉の松は歳神様が訪れますよう、来年の恵方、南南東に配置しま…

菅原道真と歩く秋

落ち葉をさくさくと踏みながら 服の袖をやっとのことでつかみながら歩く 裾からすっと手をだして、あっためてくれないかな。 お蕎麦やさんに寄って温ったまろ。 和久傳 五(いつつ)

サワガニ

大原の里から静原へ。江文峠をこえて行く。途中サワガニと中国からの旅人に出逢う。 サワガニは沢から沢へと移動中。秋のはじまりにかなりはやいスピードで歩いていた。 中国からおみえの旅人はこのありの美術館に行きたいとスマートフォンの中国語をわたし…

上賀茂の社に舞う蝶

上賀茂神社の楼門におかれた藤袴の鉢にどこからともなくアサギマダラが密を吸いにやってきました。 今年もみつけたのね。 透明のブルーの羽根がクールに見えるアサギマダラですが、この花だけに決めているなんて、とても一途なんですね。 こちらはご本殿横の…

法然の愛した蓮

幼少期を京都、岡崎で過ごしたわたしは、黒谷さんにどんぐりをよく取りに来た。 ここには小さな蓮池があり太鼓橋がかかっていた。底なし沼。落ちたらひっぱられ底へ底へと・・・。といわれ全力でこの橋を通りぬけたものだ。 大人になった今はゆっくりとその…

上賀茂の清らかな水辺に繁る カモシダ

楼門の前にかかる玉橋の下を流れる御物忌川。源流は遥か山の中、小池、蜂が池をへて、新宮の横を流れ、われわれの前に姿を現す。 賀茂にある細かい葉のシダがあるという。初夏に蛍をみたのもこのあたりだった。 川の背が見えるぐらい清らかな川ではあるが水…

白い花をつけた二葉葵に出逢う

はじめて見ました。白い花をつけた二葉葵です。清らかでしとやかでよわよわしいかんじだけれど確かにここに存在する。そんな白い花です。 二葉葵は一般的には紅紫の花をつけます。 よほどながめていたのでしょう。帰り際に「持って帰り」とポットにわけてそ…

Nostalgic

ここは京都市美術館東側の入り口。 ここには車寄せがあり、ゆるやかなスロープになっている。近くに住まっていたわたしは、幼い頃この段差を利用し、何度もくり返しトライしやっと自転車が乗れるようになった。そんな夢中であった光景を思い出した。 カフェ…

美しい品

おもいがけずチョコレートをいただいた。 Theo murataと記載されている。聞いてみるとあの由布院のものであるらしい。いいところだと聞いていたものの、行く機会もなく恥ずかしながらはじめて聞く名前だった。山荘無量塔 暁(Gyou)の間、なんだか光の加減が…

柑橘系の香りに誘われて

きょうのような雨の日に、ゆっくり時間があるときは、リッツカールトンのラウンジカフェに出かけます。 何がそうさせるかというと、香り。家からタクシーでワンメーターの距離にあるのですが、ここからは別世界。ホテルのロビーを入るとすぐに導かれるように…

桃花神事

神がきに咲きそふ花を見てもまづ 風おさまれと世をいのるかな 賀茂久世(上賀茂神社 第三十二代神主) 当代が204代ですからずいぶんと昔に詠まれた御歌ですね。 今日は3月3日 五節句(供)のひとつの「上巳(じょうし・じょうみ)」という日です。 上巳(桃…

特別な人と静かに楽しむお店

京都四条河原町 鴨川の近くにある小さな割烹喜幸。 小魚オイカワのてんぷら。 はずかしいことですが京都に何年も住んでいてはじめていただきました。 鴨川のどんぐり橋近くでとれるという小魚オイカワ(京都では鮠といいます) 前のお品書きに「鷺知らず」こ…

草かんむり

かねてから漢字の草かんむりが気になっていました。 茶、花、薫も草かんむりがついています。 芸術の芸の字も草かんむりに伝えると書きます。草木をながめ自然を伝えていくのが芸術なのかな。と勝手な解釈をしております。 身近な草木を大切に思うような空気…

あたりまえなことがあたりまえでなくなる日 

雪の中、静かに出番を待つ葵 ( 葵は「あふひ」と書き 「ひ=神様・大切なもの」 に 「逢う」の意) 上賀茂神社で葵祭に飾る葵を育てるようになって5年たった。父の後を引き継いだ家の葵も元気に育っている。 葵のことが気になって、心惹かれたのが始まり。…

12年目の不思議な巡り逢わせ

幸運を呼ぶ歳神様へ初詣 今年の歳徳の神様は庚の方角(西南西)にいらっしゃいます。 自宅からその方角へ初詣に行くと幸運が訪れる。 わたしの家からは松尾大社がピタリとあてはまりました。 12年ぶりの参拝です。12年前の1月1日。こちらで奉納をさせていた…

初卯神事

新年明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくおねがい申し上げます。ほんとうに寒いお正月でした。 上賀茂神社の楼門も雪化粧です。1月3日、きょうは歳があらたまって最初の卯の日にあたり、初卯神事が行われました。 お祭りにもちいられるの…

高瀬川薫子の気流曼荼羅

これまで研究してきた日本文化の根底に流れる思想を図式化しました。 地形や気候など日本の風土。 文化。 祈り。 お正月や月見などの歳時記。人の一生。衣食住。美術、工芸。和歌などの文学。茶道、華道など道となるもの。能、文楽など芸能。 そして粋、数寄…

歳神さまといただく特別なお箸

祝箸 お正月には両端が細く中央が丸くなっている柳のお箸を使います。 片方はわたしたち、もう片方は神様がいただかれるため 両端が細くなっています。 神様と一緒にお食事をいただき福をまねくおめでたいお箸です。 材は柳。柳は「木」に「卯」と書きます。…

冬至と新月が重なる

この日をさかいに長と転じる 今年の12月22日はとても特別な日です。 二十四節気では冬至にあたり、お月さんの満ち欠けにおいては朔、新月です。冬至は一年中で最も夜が長く、この日をさかいに徐々に日が長くなっていきます。 また、お月さんも新月から満月に…

山の向こう

山のあなたの空遠く 幸い住むと人の言う 幸せはどこにあるのでしょう。山の向こうにみつかったのでしょうか。

上賀茂の森 

清められ 新しい自分と巡り逢う 上賀茂の森に遠慮がちに立ちはいる。ここには山の神がいなさる。平安時代 葵祭の夜 斎王さまは森の中で神さまと一晩お過ごしになられた。 さぞかし心細く、恐ろしかったであろう。 忘れめやあふひを草に引きむすびかりねの野…

Ritz-Carlton京都のテラス

ほっこりするな 新しく建て替えられた鴨川沿いに建つホテル。リッツ・カールトン京都のテラスは至福の時間が流れる。ついさっきまで家でまとめものをしていたのに。 午後の3時。ホテルおすすめのピエール・エルメ・パリのベリーのマカロンをいただきながらカ…

鎮守の森

自然の中で 昼下がり参道から少しはずれて山の小道へと進んでみる。 しばらく行くとそこには平らな土地がひろがっていた。 何の跡でしょうか?こんな人が踏み入れないところに。 何か祭事でもしていたのでしょうか。落ち葉が一面にひろがりその落ち葉を踏み…

燃灯祭(乙子の神事)上賀茂神社にて

あらら 春がきたような 二月第二の子(ね)の日の神事。平安時代に宮中の年中行事として行われていた「子の日遊び」を神事化したもので、神職一同、御阿礼(みあれ)野と呼ばれる場所にあった神館(こうだて)跡の壇に出でて小松を根引きとし、それに燃灯草…

二十四節季 雨水(うすい)

陽気地上に発し、雪氷とけて雨水となればなり庭の残り雪がとけると 蕗のとうが芽ぶいていました。まあかわいい。今年もちゃんと顔をだしてくれました。 天ぷらもいいな。刻んでお味噌に混ぜてみりんとお砂糖少々加え蕗味噌にいたしましょう。お酒のあてにい…

二十四節季 立春

春の気立つを以って也 京都では細雪の立春となりました。 今年は1月31日が朔(新月)。旧暦の1月1日となります。立春は朔に関係なく定められるため、多くの年は1日になりません。ただし約30年に1度、立春が朔と重なり、旧暦1月1日になる年があります(…

節分

ふるとしは 一夜へだゝる ながめとて 昨日の雪も かすむ山のは 本居宣長先生の短歌をおもいだしました。今朝 窓を開けると、山々が白く、雪かなと見間違えた景色は 霞が立ちこめていたのでした。季節も冬から春へとかわっていくのですね。 今日は冬と春の節…